歯を失う二大原因の1つです
虫歯は歯の喪失の二大原因のうちの1つです。
虫歯によるものは全体の30%前後、歯周病によるものは全体の37%前後です。
一見歯周病による歯の喪失が多いように思いますが、歯の喪失原因の中には「破折」という項目があります。
この破折による歯の喪失は、全体の18%ほどを占めています。
虫歯により神経を取ってしまうと、その歯は「無髄歯」となります。
この無髄歯はとても破裂しやすい状態のため、虫歯で神経を取り歯が破折したというケースも多いです。
また、虫歯の特徴として、どの年代においても多いという点があげられます。
多くの歯の喪失原因である虫歯を予防することが大切です。
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目次
こんなお悩みありませんか?
- 歯がずきずき痛む
- 歯が茶色く変色している
- 歯に穴が開いている
- 虫歯予防について知りたい
虫歯について
虫歯とは
特に痛みもないのに歯が白っぽく変色したり茶色の色が付き初め、気がついたら穴が開いているという経験はありませんか?
白っぽく変色している時や茶色く色が付いている時はまだ痛みがないことがほとんどです。
穴が開いてようやく痛みを感じ、歯科医院にかかった時には多くの歯質を削らなくてはならないというケースもあります。
このように虫歯とは段階的に進行する疾患です。
虫歯は「予防」「早期発見」「早期治療」がとても大切になり、早めに発見できると削る歯質が少なくて済み、結果的に歯の寿命が延びます。
虫歯のメカニズム
虫歯は酸によって歯が溶かされることによって起こります。
この酸は虫歯菌が糖を食べ産生するので、甘いものを食べると虫歯になりやすくなりますが、歯には再石灰化という機能があり、酸で歯のミネラルが溶け出しても元に戻すことができます。
しかし、だらだら食べを続けたり、酸を産生する原因となる虫歯菌がたくさんいたりすると、この再石灰化が行われにくくなり、結果的に虫歯が進行してしまいます。
虫歯の発生には「細菌」「糖質」「歯の資質」がそれぞれ深く関わっています。
同じように歯磨きをしているのに虫歯になってしまう方とそうでない方がいるのはこのためです。
子供の虫歯の原因
乳歯と永久歯の違い
乳歯は永久歯より虫歯になりやすく、 虫歯が進行しやすいといわれています。
虫歯になりやすい原因はいくつかあります。
●歯質が薄く密度が少ない
乳歯のエナメル質と象牙質は永久歯の1/2ほどの厚さしかありません。
また、永久歯とくらべてエナメル質や象牙質の密度も少なく、柔らかいのが特徴です。
そのため虫歯が進行しやすく、あっという間に神経まで達してしまいます。
●神経が入っている部屋が大きい
乳歯は神経が入っている髄室という部屋が大きい傾向にあります。
そのため少し虫歯が深くなったり、削ったりするとすぐ神経に到達してしまいます。
虫歯ができやすい場所
●隣接面(歯と歯の間)
乳臼歯が生えてくる頃から注意しなくてはならないのが、隣接面の虫歯です。
隣接面は直接目では見ることができないため、気づいたら虫歯が進行し深くなっているケースがあります。
●咬合面(咬む面)
特に生えたての歯は咬合面の溝がとても深い傾向にあります。
この溝は歯ブラシの毛が届きにくいため、中の汚れを完全にかきだすことが難しいのが特徴です。
乳臼歯が生えてきたらシーラントという溝を埋める処置を行うと、この咬合面からの虫歯を防ぐことができます。
溝から虫歯になっている場合、穴が小さく見えても中で大きく広がっているケースがあります。
●歯頚部(歯と歯茎の境目)
乳歯の歯頚部の虫歯は、甘いもの(特にジュース)や歯磨き不足で起こります。
長い間哺乳瓶を使うと、前歯の頬側面にあたることで、常に糖が付着している状態になり虫歯ができやすくなります。
子供が特に注意する点
●哺乳瓶の使用は時間を決めましょう
歯頚部の虫歯にならないためには、ストロー類や哺乳瓶を使用する際はあらかじめ時間を決めておくのが良いでしょう。
●おやつや甘い飲み物には
注意しましょう
おやつをだらだらと上げてしまったり、甘い飲み物をずっと飲んでいると虫歯になりやすくなります。
再石灰化が起こる時間をきちんと作り、虫歯にならないようにしましょう。
● 大人が仕上げ磨きをしましょう
歯ブラシの技術が上がるまでは、大人が仕上げ磨きをしてあげるようにしましょう。
大人の虫歯の原因
年齢によって虫歯ができやすい場所
●若年層
・隣接面(歯と歯の間)
永久歯も、隣接面の虫歯には注意が必要です。
乳歯にくらべて隣接面がピタッとくっついているため、清掃がしづらいのが特徴です。
・咬合面(咬む面)
幼若永久歯という生えたての永久歯も、咬合面の溝が深い傾向にあります。
永久歯も生えてきたらシーラントという溝を埋める処置を行うと、咬合面からの虫歯を防ぐことができます。
●高年層
虫歯は年齢が上がるにつれて進行がゆっくりになるという特徴があり、象牙質も厚くなってくるため神経まで達する虫歯にはなりにくい傾向にあります。
隣接面や咬合面の虫歯も引き続き注意が必要ですが、 高年層は特に気をつけたい場所があります。
・歯頚部(歯と歯茎の境目)
年齢が進むと歯槽骨(歯を支えている骨)の吸収が起こり、歯肉が下がります。
その結果、歯根の一部が口腔内に露出してくる方が多くなります。
歯はエナメル質に覆われているのですが、歯根に近くなるとエナメル質が少なくなり、象牙質となります。
エナメル質より柔らかいため、象牙質は虫歯になりやすいです。
大人が特に注意する点
大人になると特に注意が必要なのが二次カリエスです。
二次カリエスとは、一度治療をした歯と歯の間から虫歯菌が入り込み、再度虫歯になってしまうものです。
治療した歯が多いほど、この二次カリエスのリスクは高まります。
この隙間に汚れがたまらないようにきちんと清掃することも大切ですが、まず虫歯にならない口腔内を作ることが重要です。
虫歯の進行状況
Co
●色、状態など
エナメル質の表面のミネラルが溶け出した状態です。
表面が白濁して見えます。
●痛み
この状態では痛みはありません。
冷たいものなどでしみることもありません。
●治療法
フッ素の塗布とブラッシング指導で再石灰化を促します。
積極的な治療は必要ありません。
C1
●色、状態など
エナメル質に限局した虫歯です。
虫歯の部分は茶色く変色して見えます。
●痛み
基本的に痛みはありませんが、冷たいものの刺激でしみることがあります。
●治療法
虫歯の部分を削り取りコンポジットレジンという白いプラスチック材料で修復します。
ほとんどの場合、麻酔は必要ありません。
C2
●色、状態など
象牙質まで進行した虫歯です。
象牙質はエナメル質より柔らかいため、虫歯の進行が速くなることがあります。
大きく穴が開いて見えることもあります。
●痛み
象牙質自体に痛みを感じる機能はありませんが、象牙細管という細い管で神経とつながっているため象牙質への刺激でも痛みが出ることがあります。
冷たいもの、温かいもの、甘いものなどでしみます。
●治療法
コンポジットレジンという修復物で修復するか、インレーという小さな銀歯を入れる必要があります。
痛みが出る可能性がある時は麻酔を行います。
C3
●色、状態など
神経まで達した虫歯です。
大きく穴が開いていることもありますが、隣接面や咬合面から深くなっている場合、虫歯の穴自体が小さくても神経まで達しているケースもあります。
●痛み
何もしなくてもズキズキという強い痛みがあります。
●治療法
神経を取り、中の根管をきれいに消毒する必要があります。
消毒した後は詰め物をしてそこに土台を立て、上から被せ物をします。
処置の前には麻酔を行います。
C4
●色、状態など
神経が壊死した状態です。
歯冠部分が大きく崩壊しているケースや、根っこだけしか残っていないケースもあります。
●痛み
神経が壊死した場合、神経自体の痛みはもうありません。
しかし根尖病巣という、根の先にできる膿の袋により痛みが出ることもあり、この時はズキズキという激しい痛みでなく、静的な鈍痛となるケースもあるため注意が必要です。
●治療法
神経を取り、中の根管をきれいに消毒する必要があります。
また根尖病巣がある場合は、根尖から膿が出てくるのを待たなくてはなりません。
その後、詰め物をして土台を立て、上から被せ物をします。
当院での虫歯に対する
アプローチ
子供の場合
●必ずレントゲンで確認する
年齢にもよりますが、当院ではお子様の虫歯治療でも必ずレントゲンで確認しています。
虫歯の深さや大きさ、歯と歯の間の虫歯の確認のため、小さなレントゲン撮影は行います。
これにより、隣接面など目に見えない場所にある虫歯の状態を確認することができます。
レントゲンを確認してから治療に当たることで、余計な歯質を削らずに最小限の範囲での治療ができます。
●白いプラスチックの材料で治療
例えば隣接面を含む虫歯の場合、大人はインレーという歯の一部を覆う小さな銀の被せ物をしますが、お子様はこのような場合でも白いプラスチックの詰め物(コンポジットレジン)をします。
●乳歯冠(銀歯)を被せることもある
虫歯が神経まで到達してしまった場合は、乳歯冠(銀歯)という被せ物をします。
これは既製の被せ物で、神経を失った歯がかけてしまうのを防ぎます。
大人の場合
●最小限の範囲に留めた治療
一度虫歯になり削ってしまうと、その部分の歯質は失われてしまいます。
修復物で修復しているのは天然の状態とは異なるので、二次カリエスのリスクも高まります。
そのため当院ではなるべく歯質を削らない、最小限の範囲にとどめた治療を心がけています。
●できる限り神経を抜かない治療
神経を抜いてしまった歯はとても弱くなってしまうため、できる限り神経を抜かない方が歯の寿命が延びます。
当院ではなるべく神経を抜かない治療を行っています。
●できる限り抜歯をしない
口腔内の機能は、1本1本の歯が異なる役割を少しずつ担うことでバランスを保っています。
そのため当院ではできるだけ歯を抜かない治療を行っています。
再発予防の大切さ
子供と大人の予防について
●子供の場合
お子様の場合は、歯が痛いとはなかなか言わないため、予防を兼ねた定期検診で歯の萌出状態や歯の萌え方、口腔内の汚れの確認などが必要です。
また、染め出しすることにより、普段の仕上げ磨きの確認を行うことが大切です。
●大人の場合
早い段階から予防や治療が開始できれば、痛みや歯を失うリスクが減ります。
大切な歯を長く使うためにも、ぜひ定期的なチェックを欠かさないようにしましょう。
自宅でできる虫歯予防
虫歯予防は歯科医院でのプロフェッショナルケアだけでは成り立ちません。
ご自宅での正しいブラッシングが第一です。
正しいブラッシングに加え、フッ素入りの歯磨き粉を使うなどして虫歯を予防しましょう。
また歯ブラシだけで落とせる汚れは全体の60%ほどだといわれています。
そのため清掃補助用具を使用し、歯間もきちんと清掃するようにしましょう。
よくある質問
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茶色く変色している部分は
虫歯でしょうか? -
茶色く変色していても、虫歯である場合と着色汚れである場合があります。
気になる部分がありましたら一度ご相談ください。
-
子供の歯間の清掃には
何を使えば良いですか? -
子供の歯間は狭いため、歯間ブラシは入りません。
フロスを使って清掃すると良いでしょう。
-
痛みがなくても虫歯のチェックに
通った方が良いですか? -
虫歯になると少しずつ進行します。
そのため予防、早期発見、早期治療の考え方が大切です。
早めに発見するためにも、定期的な検診を受けることをおすすめします。
-
二次カリエスはどのように
予防すれば良いですか? -
ご自宅でできることとして、細かいところまできちんと磨くという点があげられます。
また二次カリエスには歯科医院での治療の精度も関わりがあります。
二次カリエスを起こさないような治療に力を尽くしています。
-
子供におやつを与えるときは
どうしたら良いですか? -
時間を決めて与えるようにしましょう。
だらだらと食べてしまうと再石灰化が起こりにくくなります。
著者 Writer
- 岡 琢弓
- 資格:日本小児歯科学会専門医、日本障害者歯科学会認定医
患者様へひとこと:
お子様のお口の健康維持は、ご家族の管理なしでは成り立ちません。
ご家族と一緒に、子ども達を健康に育てるために、私達は少しでも貢献できれば幸いだと思っております。
どうぞお気軽にご来院下さい。
診療案内
MEDICAL
歯科相談
当院では座間市の公的な歯科健診に対応しています。
3ヶ月から半年に一度の定期検診を行うという考え方はかなり一般に広がってきましたが、まだそのようなかかりつけ歯科医を持てない患者様もいらっしゃいます。
歯科医院にかかりたいと考えている方は、市の助成を受けた当院の歯科相談をお受けください。
小児歯科
当院の小児歯科では、「子供たちのお口の健康は家族みんなで守っていこう」を方針とし、診療を行っています。
小児専用の治療スペースやプレイルーム、診療後にガチャガチャなど回してもらうなど、お子様がより良い気持ちで通っていだたけるように設備面でもさまざまな工夫をしています。
矯正歯科
歯並びが悪いと「審美面」「機能面」「清掃面」という3つの方向からのリスクが考えられるため、矯正治療が重要になります。
お子様の矯正治療は「1期治療」「2期治療」の2段階で行い、大人の矯正治療は2期治療になります。
かみやすい、清掃しやすい歯でより健康な生活を送れるようお手伝いします。
口腔外科
当院の口腔外科では「親知らず」「顎関節症」「舌小帯などの付着異常」「口腔内の外傷」について治療を行っています。
その他、舌や粘膜についてのご相談も可能です。
また、外科処置は事前に説明の時間をいただきます。
具体的には全身疾患の状態や、お薬の確認、術式、治療後の注意点、予約のとり方、ご心配なことの相談を行います。
一般歯科
当院では
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